「平成30年度 病害虫発生予報第8号」の発表について
農林水産省HPより
向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報については次のとおりです。
・野菜類では、シロイチモジヨトウの発生が南関東、北陸、近畿、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。ほ場内の発生状況に注意しつつ、適期に防除を実施してください。このほか、ハスモンヨトウ等、地域によっては発生が多くなると予想されている病害虫がありますので、注意してください。
・果樹では、果樹カメムシ類の発生が東海、近畿、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。本虫の飛来状況は地域や園地により異なるので、園内を注意深く観察し、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施してください。このほか、かきの炭疽病等、地域によっては発生が多くなると予想されている病害虫がありますので、注意してください。
国の発生予察情報について
国は都道府県の協力の下、植物防疫法(昭和25年法律第151号)に基づき、有害動植物の防除を適時で経済的なものにするため、気象、農作物の生育状況、有害動植物の発生調査結果等を分析し、有害動植物の発生動向及び防除対策に係る情報として、発生予察情報を提供しています。
本予報に掲載している情報の詳細は、都道府県病害虫防除所のホームページ等を参照してください。
発生予察について
参照URL:http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/index.html
都道府県病害虫防除所
参照URL:http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/120105_boujosho.html
気象
気象庁の向こう1か月の予報(10月11日付け)では、気温は北日本は平年並か高く、沖縄・奄美は平年並か低く、その他の地域ではほぼ平年並みと予想されています。また、降水量は全国的にほぼ平年並と予想されています。
気象庁ホームページ
参照URL:http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/001_00.html
野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
作物名 | 病害虫名 | 発生が「多い」と予想される地域 | 発生が「やや多い」と予想される地域 |
キャベツ | 黒腐病 | 東海 | 南関東、北陸、近畿、中国 |
きゅうり | アザミウマ類 | 北九州 | 北関東、近畿、四国 |
うどんこ病 | 関東、四国、九州 | ||
ベと病 | 北陸 | 北関東、南九州 | |
褐斑病 | 北陸 | 近畿、中国 | |
トマト | コナジラミ類 | 甲信、四国 | |
灰色かび病 | 北陸 | 南東北、東海、中国、四国 | |
葉かび病 | 北陸、中国 | ||
ねぎ | さび病 | 北陸 | 北東北、南関東 |
アザミウマ類 | 北東北、北陸 | 関東、近畿 | |
べと病 | 北関東、中国 | ||
黒斑病 | 北陸、東海、四国 | 北関東 | |
大豆 | アブラムシ類 | 中国 | 北陸 |
吸実性カメムシ類 | 南東北、近畿、北九州 | ||
野菜・花き共通 | シロイチモジヨトウ | 南関東、北陸、近畿、四国、北九州 | 北関東、中国 |
ハスモンヨトウ | 北関東、北陸、四国、北九州 | 南東北、南関東、東海、近畿、中国、南九州 | |
オオタバコガ | 四国 | 甲信、北陸、東海、近畿 | |
きく | アザミウマ類 | 北九州、沖縄 | 北関東、北陸、南九州 |
アブラムシ類 | 北九州 | 中国 |
注)表中の地域については、必ずしもその全域で発生が見られるものではありません。
ねぎ
・アザミウマ類の発生が、北東北及び北陸の一部の地域で多くなると予想されています。本虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介することが知られています。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施してください。
また、本虫は薬剤抵抗性が発達しやすいので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避ける等、薬剤を適切に選定してください。農薬散布のみならず、天敵生物等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討してください。
・黒斑病の発生が、北陸、東海及び四国の一部の地域で多くなると予想されています。本病は主に葉身に発生し、多湿条件で発生が助長されます。多発すると防除が困難になるので、ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施してください。
野菜・花き共通
・シロイチモジヨトウの発生が、南関東、北陸、近畿、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されており、9月中旬以降、神奈川県、大阪府、兵庫県、和歌山県、愛媛県及び長崎県から注意報が発表されています。幼虫の成育が進むと薬剤の効果が低下する場合があるので、ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施してください。
・ハスモンヨトウの発生が、北関東、北陸、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されており、9月中旬以降、神奈川県、徳島県、香川県、高知県及び長崎県から注意報が発表されています。幼虫の成育が進むと薬剤の効果が低下する場合があるので、ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施してください。
果樹
果樹で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
作物名 | 病害虫名 | 発生が「多い」と予想される地域 | 発生が「やや多い」と予想される地域 |
かき | ハマキムシ類 | 北陸、東海、北九州 | |
炭疽病 | 北陸、東海、近畿 | 四国 |
注)表中の地域については、必ずしもその全域で発生が見られるものではありません。
かき
・炭疽病の発生が、北陸、東海及び近畿の一部の地域で多くなると予想されています。本病は多湿条件下で発生が助長され、特に秋期に降雨が多いと多発しやすくなります。秋期の発病果は落果せずに樹上に残り、他の果実への伝染源となるため、り病果は早期に除去するとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に必要に応じて薬剤散布を実施してください。
果樹共通
・果樹カメムシ類の発生が、東海、近畿、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されており、予察灯等の誘殺数が多いとして、9月中旬に愛知県から、10月中旬に神奈川県から注意報が発表されています。本虫は森林で発生し、スギやヒノキの球果を餌に増殖し、球果が枯渇すると餌を求めて園地に移動し、かんきつ、かき等の果実を加害します。
本虫の飛来状況は地域や園地により異なるので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にしつつ、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施してください。
病害虫防除に関する留意事項
一般
・病害虫の防除を効果的に実施するためには、注意深くほ場観察を行うことにより、病害虫の発生状況を的確に把握することが必要となります。病害虫の発生は天候の影響を大きく受けるので、天気の推移に注意しつつ、各都道府県の防除指針に従い、適期に適切な防除を実施してください。
・薬剤防除を実施する場合は、病害虫が薬剤抵抗性を獲得しないように、同じ作用機作の薬剤の連続使用を避けてください。また、農薬の使用基準を遵守して適切な薬剤を選択するとともに、散布対象外の農作物等に農薬が飛散しないよう対策を講じてください。
露地栽培
・引き続きほ場観察を行い、病害虫の早期発見に努め、発生を認めた場合は適期に適切な防除を実施してください。
施設栽培
・ウイルス病を媒介するアザミウマ類、アブラムシ類、コナジラミ類等の侵入や野外への飛び出しを防止するため、施設の開口部に防虫ネットを設置する等の対策を実施してください。また、雑草はこれら害虫の発生源となるので、施設内及び周辺の除草を定期的に行うよう努めてください。引き続きほ場観察を行い、病害虫の早期発見に努め、発生を認めた場合は適期に適切な防除を実施してください。
・作物残さは、害虫の発生源となり、り病葉及びり病果は、病害の伝染源となります。栽培終了後は、蒸し込み処理等を行い、作物残さでの生存虫を死滅させてから搬出し、土中に埋める等、確実に処分をしてください。
・施設内が過湿になると、病害の発生が助長されるため、雨水が施設内に入らないように留意するとともに、過度なかん水を回避する、循環扇を設置する、換気を行う、作物の株間の通風を図る等により、施設内が過湿にならないように管理してください。また、病害の早期発見に努め、伝染源となるり病葉及びり病果は除去し、適期に薬剤防除を実施してください。
(参考)
今後の発表予定日
第9号:11月14日(水曜日)
第10号:平成31年2月13日(水曜日)
お問合せ先
農林水産省
消費・安全局植物防疫課
担当者:国内防除第2班 白石、渡邉、土田
代表:03-3502-8111(内線4562)
ダイヤルイン:03-3502-3382
FAX番号:03-3502-3386