農業法人とは?
農業法人と農業生産法人
農業法人とは、「法人形態」によって農業を営む法人の総称です。
この農業法人には、「会社法人」と「農事組合法人」の2つのタイプがあります。
また、農業法人は、農地の権利取得の有無によって、「農業生産法人」と「一般農業法人」に大別されます。
農業生産法人は、“農業経営を行うために農地を取得できる法人”であり、株式会社(株式譲渡制限会社(公開会社でない)に限る)、農事組合法人(農業経営を営む、いわゆる2号法人)、合名会社、合資会社の5形態です。また、事業や構成員、役員についても一定の要件があります(ただし、農地を利用しない農業の場合は農業生産法人の要件を満たす必要はありません)。
法人化する場合、どのタイプの法人を選ぶのか、それぞれの法人形態の特色や自らの経営展望に照らして選択する必要があります。
設立手順
法人の形態が決まれば、いよいよ設立です。農地等の権利を取得する農業生産法人の設立をめざす場合には、定款や事業計画の作成の時点で市町村農業委員会等の関係機関・団体と事前に相談することをお勧めします。
農業生産法人を設立するためには…
いよいよ農業法人を設立する場合、法人形態や構成員をどうするかは重要なポイントです。
会社法人にするのか、 農事組合法人にするのか、また、構成員を家族だけの同族法人にするのか、仲間と一緒に法人を作るのか。法人形態の選択に当たっては、家族や仲間、地域事情 や資金等の現時点の状況判断だけでなく、将来、どのような農業法人にしたいのかも含めた長期的な視点も大切です。
株式会社と農事組合法人の比較は以下の表のとおりです。商行為その他の営利行為(株式会社)と共同の利益増進(農事組合法人)のように事業目的が異なりますし、議決権のほか、農事組合法人には雇用人数の制限(構成員の2/3未満)もありますので注意が必要です。
株式会社 | 農事組合法人 | |
目的 | 商行為その他の営利行為 | 共同の利益増進 |
出資 | 制限なし(1株均一) | 制限なし(1口均等) |
構成員 | 1人以上、(ただし、農業生産法人となる場合には、農地法の要件を満たす必要がある) | 農民等3人以上 |
議決権 | 出資1株につき1議決権(ただし、定款で別段の定め可) | 1人1議決権 |
役員 | 取締役1人以上(社員以外も可) | 理事1人以上(組合員のみ) |
常時従事する構成員・理事の過半は60日以上の農作業に従事すること | ||
配当 | 出資株数に比例(出資配当の制限なし) | 利用分量・従事分量・出資分量の3種類 |
農業経営の法人化の意義と利点
農業経営の法人化の利点として、1)経営の円滑な継承、2)経営管理能力や資金調達能力、対外信用力の向上、3)雇用労働関係の明確化や労災保険などの適用による農業従事者の福利厚生の充実、4)新規就農者の確保が容易などがあげられます。
また、新規就農や地域雇用の受け皿となるなど地域社会の活性化に果たす役割の重要性も指摘されています。
しかしながら、これらの利点は、法人化すれば自動的に享受されるものではなく、農業経営の継続・発展のための経営努力のなかで生み出され、獲得していくものとして理解する必要があります。
また、法人化することによって、管理コストの上昇や農地等の相続税の納税猶予制度、生前一括贈与の特例を受けられなくなる場合もありますので、自らの経営内容等を多角的に検討し、法人化に着手することが大切です。
経 営 上 の 利 点 |
経営管理能力 の向上 |
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対外信用力 の向上 |
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人材の確保 ・育成 |
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制 度 上 の 利 点 |
税制面での 優遇 |
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社会保障制度 |
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制度資金 |
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農地の取得 |
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お問い合わせ先など詳しくは 公益社団法人日本農業法人協会HPまで
また農林水産省HPにも農業法人化のパンフレットあります。